世界の中心で、愛をさけぶ

片山恭一さんの本は、「ジョン・レノンを信じるな」を以前に読んでいた。そのとき思ったのが、「村上春樹っぽいな」という印象だった。村上春樹の「僕」になろうとしているのだが、結局はなれていないという亜流の感を拭えないものだった。

果たして今作。結局は同じ。やはり二流の域を出ないものだった。蛍の描写があるが、宮本輝「螢川」や村上春樹ノルウェイの森」にはおよばない。ただ切なさだけは一級。そのせつなさを説明できていない、描写できていない、というのは困ったことだ。物書きが「言葉にできない」なんて言っては原則としてダメなのだ(小田和正の域に達さない限り)。まぁ一気に読めてせつなくなれるので、好きな人は好きなんではないかと思います。結論としては稚拙だけど○、ってとこですねぇ。