「さくら」読了

結論からいうと、過度の期待をしていたので大したことないように感じた。でも高校生のときに読んでいたらバイブルになったかもしれない。平凡な日常に起きるささやかな奇跡。
「僕」は老犬(メス)の「さくら」に会いたくなったので、年末年始を実家で過ごすことにする。そして幼いときからのエピソードがずっと回想される。ただそれだけ。
しかし登場人物が非凡すぎる。兄は頭がものすごく良くてモテモテ、弟(僕)は兄ほど優れていないけれど記憶力は良い。妹は超美人、だけどあっと驚く行動をする。それを優しく見守る父と母。うまい人物設定だなとは思いましたが、キャラ立てすぎ。物語としては心に入ったけど、いまのボクにとっては「自分のための物語」ではないと感じた。10年前だったらそのように感じれたかもしれない。
「僕」が「さくら」の肉球に恋こがれる描写があるのだけど、それはうまいなぁと思った。いや、「肉球」という言葉だけですでに甘美であるという事実もナキニシモアラズだが。
ですので、普通に面白かったです。読んで後悔はしませんでした。帯の編集者は吠えすぎです。

ところで、「日常に起きるささやかな奇跡」と書いたけど、そんなことを思ったときに頭を流れる曲がネロリーズの「オーディナリー・ミラクル」 という曲。何が良いのかよく判らないけど(だからこれについてはうまく人に伝えられない)、なぜか心惹かれるのだ。しかしこの曲といいデュラン・デュランの「Ordinary World」といい普通だと言っておきながら普通ではない曲だと思う。明らかに音楽の神(ミューズ)が降臨している。