鷺沢萠さんについて

5日間のウィークデイがあっという間に過ぎていった。月曜と火曜は残業で、水曜は野球の練習。木曜は残業をせず昼寝をした。そして金曜が終わろうとしている。なんてこった。来週には8月ぢゃないか。
閑話休題

本当はここからは「夏の文庫フェア」という、大体角川文庫と新潮文庫集英社文庫が大々的に行っているイヴェントについて書く筈だった。しかし角川のラインナップを見ていて、鷺沢さんの本がなくなっているな、と思ったのだった(新潮から「葉桜の日 (新潮文庫)」が消えてからはもう10年ぐらい経つ)。そして鷺沢さんの本のリンクを張ろうとしたら「祈れ、最後まで・サギサワ麻雀」とかいう読んだことのない本が出てくる。ボクは自殺をするような人に敬意を払う趣味はないのだけど、タイトルと寸評を見て泣きそうになった。いずれ手に取ろうと思う。立ち読みになるかもしれないけど。てな訳で鷺沢さんの話を少ししようと思う。
彼女の本に出会ったのは高校2年のときだった。推理小説と娯楽小説しか読まなかったボクが「そろそろ現代文学とかそういうのも読まなければいけないな」と思って「帰れぬ人びと (文春文庫)」を手に取ったら見事にやられてしまった。国語の文章題に出てきてもおかしくないしっかりした文章*1、想像が容易な美しい情景描写、そして主人公の哀しみ。
そしてその後の小説はほとんど読んだ。「駆ける少年 (文春文庫)」以降の小説は無駄に重いというか、酒と麻雀のポップライフの反動が来ているようであまり好きではなかった。しかし「君はこの国を好きか (新潮文庫)」(4度目の芥川賞候補作)とかたまにすごい話を出すから、ずっと気にしていた。そしたら亡くなってしまった。
彼女には昨年から続く韓流ブームについてどう思っているのか、それについては是非書いてほしかったなと思う。彼女は作家デビューの後、自分に4分の1韓国の血が流れていて、それで韓国に留学までしているのだ(それの経過は「ケナリも花、サクラも花 (新潮文庫)」に書いてある)。
まだ生きていたら、本当に良い仕事ができたのではないかと思う。とても悔しい。

*1:実際高3の冬に「川べりの道」が出題された、そのときはとてもびっくりした。結果?50点満点の32点(苦笑)