光原百合「十八の夏 (双葉文庫)」についての私見

中篇4篇で構成されています。
この本を買ったのは昨年の菊花賞の帰りに新幹線の中で読むためにでした。ところが疲れ果てて表題作を読むか読まないかで眠ってしまいました。そして昨日ようやく読み終わりました。
結果的にはあとの3篇は素晴らしいものでした。読んでよかったです。

十八の夏 ★★☆☆☆

表題作の「十八の夏」ですが、すべての面において村山由佳の「天使の卵」を1ランクずつ落とした感じがします。おかげで各界絶賛といいながらこの程度かと思っていままですべて読まずにいたぐらいだ。今回別の3篇を読むに当たって再読しようとしましたが、とてもそんな気分にはなれませんでした。特に面白くない訳ではありません。ただボクにとっては再読の時間が惜しかっただけです。

ささやかな奇跡 ★★★★★

2篇目のこれは素晴らしかった。妻を亡くし、男の子が1人いる主人公が偶然女の子(というにはいささかトウが立っている)に出会った。果たして再婚はするのか?男の子の養育で世話になっている亡妻のお父さんお母さん、そして男の子本人の気持ちは?彼らの気持ちを慮りながら主人公が出した答えは?という話。設定や気持ちの触れ動きが丹念に描いていて良かった。

兄貴の純情 ★★★★☆

典型的な泣ける喜劇。一気に読めました。

イノセント・デイズ ★★★★☆

人間関係が複雑でよく判りませんでしたが、子どもが大人の現実に戸惑いながらなんとか問題を解決していこうというのが読んでて痛かった。今クールのドラマ「白夜行」にも通じるテーマではないかと思います。