恩田陸「ねじの回転」についての私見

ねじの回転 上 FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)
ねじの回転 下 FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

今日は福岡市へ出張だったのですが、朝8時ごろから降りだした雪のため、あちこちにチェーン規制が敷かれていきました。出勤の段階から「今日は雪がひどいから、電車で出張に行かなければいけないかなぁ」とは思っていたので、文庫本を職場へ持っていくことにしました。結果は大正解でした。おかげで1時間半ぐらい本が読めました。
読んでいたのは恩田陸の「ねじの回転」です。なんとSF。人間が時間遡行の技術を身につけたのだけど、それによって歴史がねじ曲げられてしまった。それを正しく修復するために、しかるべき地点から歴史の再生を始めようとする。「二・二六事件」の時に。という話です。
過去の人々と現在の人々が交錯しているため、判りにくい箇所もありましたが、それはSFというジャンルそのものの問題でしょう。安藤大尉、栗原中尉、石原大佐という歴史上の人物(といってもボクは二・二六事件について詳しく知らなかったから、もちろん彼らの名前も知らなかった)が時間遡行の概念を理解して動くというのはすごいことです。話はフラグメント(断片的挿話)と「不一致」による再度の遡行を挟みながら進んでいきます。
読み終わったあとは、あまりの話の引力の強さにぐったりしてしまいました。それでも登場人物に想いを馳せずにはいられませんでした。ボクの伏線の理解が悪かったので、もう1度読み返してみようかなと思います。