君は春を待たずに

僕がいつも髪を切ってもらっている所に電話をかけたら、いつも髪を切っている美容師さんが2、3日前(つまり2月15日付ということだろう)に退職したことを告げられた。それでも切ってもらわなければ僕の髪は大変なことになってしまうので、とりあえず定時にお願いしますと伝えた。そして電話を切った。
そして僕は自分自身がものすごく戸惑っていることに気づいた。東京8Rの締切5分前だというのに。

僕にとって彼女は目指すべきものであったように思える。髪型については完全に下駄を預けていれば良かったし(髪に対して下駄という日本語はやはり変だろうか!?)、今日だって「春っぽい髪型にしてください」と頼むつもりだった。それで間違いはない筈だった。
普段着ている洋服のセンスも良いし、あまり人の影響を受けたがらない僕にとって数少ない例外の1人だった。だから僕は彼女が薦めるものを貪欲に取り入れ、うまくフィードバックしようとした。この1年間でついた自信はほとんどが彼女が与えてくれたものだった。ある意味本当に慕える人だった。
これからまた別の誰かとパートナーシップを構築していかなればならないと思うと暗澹とした気分になるけど、いままでありがとう。