「アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)」についての私見

今年の夏が終わってしまった。平日仕事に行って、土曜日は野球をして買い物をしてときどき飲みに行って、日曜日は小倉競馬に行って、と過ごしていたらあっという間に終わってしまった。キャンプにも行ったなぁ、あれは非日常で面白かった。花火も海もなかったけど、それなりの夏は過ごせたようだ…それなりで良かったのか!?

閑話休題

森絵都、という作家さんの本ですが、初めて読みました。きっかけは角川の「夏の100冊」フェアにあったことです。1968年生まれと(作家としては)若かったのも大きな要因です。なんでも児童文学を中心として活躍されていて、直木賞候補にもなったことがあるようです。
これについての全体的な感想は「中学生の読書感想文に丁度いい」というものでした。安心して感動できます。3つの中篇から構成されています。

子供は眠る ★★★★

5人のいとこが夏休みだけいちばん年上のいとこの別荘に集まるという話。そこでの遊びだとか生活だとか、5人がうまくやっていくにはいろんな気苦労がある。それを描いています。学年ごとでの気の遣い方の描写とか面白いなぁと思いました。ともかく夏の終わりはせつないものだ。

彼女のアリア ★★★★★

中学3年生の「ぼく」は不眠症になり、夏の運動会の練習をサボった。すると誰もいない筈の旧校舎には、ピアノを弾く「藤谷」がいた。藤谷も自らを不眠症だといい、意気投合したぼくと藤谷はいろんな話をする。やがてぼくの不眠症は治ったのだが藤谷はというとずっと前から顔色は良かったようだ。つまり!?…という話。
3篇の中でこれがいちばん良かった。なんとかして藤谷とつながっていたいと思うぼく、藤谷のことが心配なぼく。なんとなく気になるという感じや、ささいな嫉妬とかいうつまらない感情を見事に描いています。卒業式の日はとてもドラマチック。ボクが中学生だったら激しい妄想に走っていただろう(苦笑)。

アーモンド入りチョコレートのワルツ ★★

前の2作品がすごく良かったので表題作であるこれはとてもすごいんだろうな、と思ったらそうでもなかった。変人が2人もいるので読んでてとても疲れるのだが、女の子2人は大変純粋。そこに救いがありましたね。